職場の窓から、この土地のいちばん大きな山が見える
西に沈んでゆく日を受けて、黒いシルエットが浮かび上がるのを、よく、眺めている
まるで切り絵のような景色だ
やわらかな金色の夕焼けが美しくて、誰かに、誰かに伝えたいと強く思う
「黄昏」「トワイライト」「逢魔が時」
そんな言葉を交わしたのはいつだったかな
この景色を、どこかであの人も見ているのかもしれない、などと考えに耽る
空の色が決して永遠ではないように、かならず時は流れ、人はかわる。
その当たり前の摂理を、知っているからこそ
かわりながらも、移ろいながらも、永く大切につないでゆけますようにと願った日を覚えている
かかっていた曲も、芳香剤のかおりも、交わした言葉も、空の色も
同じ空が二度となくても、夕焼けの美しさはかわらない
きっとこれから何十回、何百回、もしかしたら何千回、暮れてゆく空を見て、その美しさに息をのむのでしょう
その不変に悲しみさえ覚えるけれど、どこかでこの景色を見る人がおだやかな気持ちでいられますようにと、また、願う