2万年前の、世界

コンクリートの5メートル下にあったという、針葉樹の森に想いを馳せる

 

にまんねん、とちいさく呟く

上手く想像できないくらいの、長いながい、時

それでもそこには「人間」がいて、

道具を使い、服を着て、火で調理をしていたのだという

 

きっとこの森は、そういう人間の営みを見ていた

 

人が2万年をつないできたように、この木々も2万年をつないできて

外に出れば同じ種の木が植わっている

それってすごいことだ、と思う

 

それでも、

2万年前を生きた木をそのまま見られることに、強く強く惹かれる

植物が綺麗に残ることの貴重さよ

 

長い時に、心が飛んでゆく

ざわざわと揺れる、湿原の草や

森のなかのすこし湿った、でもさわやかな匂い

 

時を止めた森は、もう動くことはないけれど

いつまでも、見ていられそうな場所だった

 

(事実、全部回ったあと本当に戻ってぼんやり見ていた)

 

自分の目の前の世界だけにとらわれてしまわないように

こういう時間を、大切にしていけたら